2012年11月15日木曜日

石平氏のMMから転載。

最高指導部人事は共青団派の惨敗だった


2012年11月15日、午前から開かれた
中国共産党第18期中央委員会第1回総会において、
新しい政治局と政治局常務委員の顔ぶれが決まった。
総会終了の直後に、政治局常務委員に選出された7名の指導者たちがお揃いの紺スーツに身を包まれて記者会見に臨み、自分たちのチームで今後の中国をリードしていくことを内外に宣した。

それはすなわち、十三億の国民をこれから統治していく中国共産党新指導部誕生の瞬間であるが、この華やかなお披露舞台が設置されるまで、共産党の上層部においては実に熾烈にして激しい権力闘争が展開されていた。
やっと決められたこの7名の政治局常務委員の構成はまさにこの壮絶な権力闘争の結果であるが、中国の政治事情に多少詳しい人間なら、その顔ぶれを一目でみればすぐに分かるように、闘争の結果は間違いなく、江沢民氏の率いる上海閥・太子党連合軍の全面的勝利と、胡錦涛氏の率いる共青団派(共産主義青年団を母体とする派閥)の歴史的大敗退である。

新しく選出された7名の政治局常務委員のうち、重慶市党書記だった張徳江氏と上海市党書記だった兪正声氏と共産党宣伝部長を務めた劉雲山氏の三名はバリバリの江沢民派として知られて、山東省党書記の張高麗氏も江沢民派に近い存在である。
もう一人の王岐山氏は太子党の一人であるが、太子党はもともと江沢民派と「同盟関係」にあることは前述の通りだ。

つまり、政治局常務委員の7つの椅子の5つは江沢民派か江沢民派に近い人間によって占められている状況である
党の総書記でこの7名のトップである習近平氏となると、太子党の代表格である彼はもともと、江沢民氏と江沢民派の強い押しがあって今の立場になった人間だから、半分以上は江沢民派なのである。

そして7名の中の最後の1名、次期首相に内定している李克強氏だけは、胡錦涛氏の子飼いの幹部で、正真正銘の共青団派である。

こうして、最高指導部となる政治局常務委員会の絶対多数(7名のうち6名)は江沢民派あるいは「準江沢民」によって牛耳られることとなった。
少なくとも党の最高意思決定を担う中枢においては、新しく誕生した習近平政権はまさに江沢民一派の天下である。

その一方、党組織部長だった李源潮氏や広東省党書記の汪洋氏など、一時には常務委員会入りが確実視されていた共青団派若手ホープの面々はことごとく最高指導部への昇進を阻まれ、政治局員止まりのままで職務が異動されることになる。
このレベルの人事における胡錦涛氏と共青団派の惨敗は明らかである。

( 石 平 )

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